logic system continued.

http;//d.hatena.ne.jp/hello-m/ ではてなダイアリーで12年間書いてたブログ『logic system』から引っ越してきたので、その続き、という意味での『continued』。

沖縄最終日。

いよいよ最終日。行動開始は12時頃と相変わらず遅め。この日はYちゃんが「絶対行くべし!」と言ってきた「きよちゃん食堂」で絶対に昼ご飯を食べるために、昼間のうちから行動しなければならない。いろいろお世話になったもよ君ともお別れ。またいつか、東京でも沖縄でも、会えることがあったら、楽しいことしましょう。

そしてきよちゃん食堂を求めて公設市場へ。メールでもらったヒントから場所を類推しようとするも、なかなか見つからない。なんやかんやで近くまで来たところで、「えーときよちゃん食堂って…」とかN君としゃべってると、そのへんのおばちゃんが「きよちゃん食堂?あーあのね、そこの桜坂あるでしょう、そこ登らずにあの路地入って」「えっとあそこの路地?」「あの手前の、ああ今おばちゃんが連れてってあげる」「あーどうもすいません」そうして捜索開始から20分くらいしてやっと発見。おばちゃんありがとう。って、見つけられる訳ねぇよこんなとこ…看板出てないし、外からも見難いし。で、いざ着いてもどこから入っていいかわからないし。厨房、つーか台所の横から入ると、「2階上がってねー、注文してから行ってー」「何がありますか?」「コロッケ、さしみ、煮付け」「んじゃコロッケで」「僕は煮付け」そして2階へ上がって座敷に座る。

隣のおじさんおばさんと、いろいろ話し合う。俺と一緒に行動してると、バリバリのウチナンチュのN君も内地の人に思われてしまうみたいで。しばらく経って持って来られたN君のコロッケ定食は、大きなコロッケが2つに、ターンムと呼ばれる田芋の付け合せ(つまんでみたけどこれがまた絶品だった)、そして煮物。俺の方の煮付け定食は、でっかいてびち(豚足)が2本に、大根、こんぶ、しらたきなどのおでん種の煮付け。これに漬物・味噌汁・赤飯がついて600円。持ってきた時は全部食べられると思ったけど、いざ食べてみるとほんっとに量が多い。俺が根をあげるくらいだから相当だ。だけど、今まで沖縄料理って言われて出されて食べてきたものより、一番沖縄らしかった。こんなものが、よく4日間で見つかったと思う。Yちゃんの情報にはずっと感謝してたけど、この時ばかりは本当に足向けて眠れないと思った。

食べ終わって2人になって、真に沖縄らしい味を共有出来たからか、徐々にN君が沖縄の真相を語ってくれる。前日にもよ君と話したこととシンクロした部分もあったけど、沖縄のイメージと現実に迫る話に、自分が東京のイメージを払拭したいと言う思いが重なって、お互い、やっぱり自分がいる場所が本当に好きなんだと言うことと、それ故に熱くなる部分があるんだ、と言うことを分かり合えた気がする。TRINITYで飲みながらだったり、もよ君の車の中でだったり、こう言う部分で有意義な話が出来たりしたのが、今回の沖縄旅行の最大の収穫だったと思う。外に出ると、一つ一つの風景がいとおしく思えた。

さて、あとはお土産である。普段は土産物とかは買わないのに、これだけ強くこの場所の印象が残ってしまった以上は、この場所の残り香を少しでも連れて帰りたい。そう思いながら、まずはYちゃんに頼まれた「羽衣ハネー」を買って、それから頼まれた化粧品をDFSで仕入れる。今までの情報提供から比べたら、これくらいのことは何でもない。

そして自分の物としては、洋服とかはもうあまり買う気がなくなっていた。普段は旅行先で洋服を大量に仕入れて帰るのに、天候があまりにも不安定だったのでもうどうでもよくなってきていたのだった。あと香水も、自分の欲しいものは安くならないので諦める。親に連絡して「なんかお土産欲しいー?」「わかんないわよー適当でいい」と言うので、さーたーあんだぎーとミミガーの佃煮を買う。そして自分用に、泡盛とシークワーサーのエキスを買う。あとはOPAのTOWER RECORDSで、沖縄でしか買えないCoccoのCD/ビデオパッケージ『風化風葬』を買う。KiroroやBeginの沖縄限定CDや、沖縄インディーズのCDとかもあったんだが、買い漁ってるとキリが無い。一通り買ってから、ベンチに腰をかけて休み、オープンが終わったことについてゆっくりと語る。

最後になって、今まで買ったものが全て消耗品であることに気づき、何か残るものとして、アクセサリーを買いに行った。青く染めたガラス玉のネックレスがあったけど、どうもしっくり来ない。結局、「琉球の玉」と言う土産物の定番で作られた、携帯のストラップを買った。せめてこの玉を見て、沖縄を思い出そうと。

時刻はもう18:40。フライトまであと1時間半である。一日中付き合ってくれたN君が、空港まで送ってくれた。最初から最後まで、お世話になりっ放しである。この場を借りて、本当にどうもありがとう。行く先々に共に遊べる友がいて、つくづく自分は幸せ者だと思う。そしてこの瞬間、ある事に気づく。

俺、ゆいレール乗ってねぇ。

空港でのチェックインで少しトラブルがあったが、最後は空港のA&Wで食事を取る。飲み物はもちろんルートビア。何故か自分より遅い飛行機のはずのバーンがいたので、今日1日について語る。しかし免税品のピックアップなどがあって、時間が無い。最後の最後に沖縄そばのお土産と、オリオンビールを1缶買って、飛行機へ走りこむ。東京に帰っても、夜食に沖縄そばオリオンビールで、沖縄の残り香を感じたいとでも思ったんだろうか。

飛行機の中では爆睡で、あっと言う間に羽田に着いた。荷物を取って、ずっとお世話になったYちゃんに感謝の電話。普段なら電車に乗った段階で、即座に東京人としての自分に戻るはずなのに、全身を沖縄の空気がまとわりついて離れなかった。あの霧を見たせいでついた余韻なのか、それともこれは呪縛なのか。

いずれまた、沖縄に行くことがあると思う。その時はいい時期を見つけて、出来れば長期で行きたい。1泊980円のゲストハウスとか、そんなところに1ヶ月くらい転がり込んで。そうでもしないと、俺はまだ何もわからない。そこまでしてわかりたいと思った場所に巡り合えたのは、ニューヨーク以来、ひさしぶりのことかもしれない。次に旅行に行く時はソウルになるだろうけど、ソウルもまた1人で行くと違った感触で、より知りたくなるんだろうと思う。

だけど、沖縄の魅力は性質が違う。イメージと本質との差。期待と現実とのギャップ。そう言った面では、東京と重なる部分も多く、似て非なる部分も多い。文化的にも、興味深い部分が多すぎる。物価は安いけど、賃金も安い。だから本気で住むとすれば、簡単には行かないだろう。でも、せっかく巡り合えたこの魅力を、手放してしまうのは勿体無い。手放さなければならなくなるだろうとも思うけれども、東京に戻ってきた時の感触が、明らかに他の旅行と違っていたことからして、簡単に手放すべきではないんだろう…と思わせる。

帰宅した頃は日が変わってた。それでもオリオンビール沖縄そばで夜食を取り、お土産屋で買ったミニ瓶の泡盛を飲み干して、午前4時に床につく。東京の空気は、やっぱり乾燥している。