logic system continued.

http;//d.hatena.ne.jp/hello-m/ ではてなダイアリーで12年間書いてたブログ『logic system』から引っ越してきたので、その続き、という意味での『continued』。

沖縄初日。

09:55発、JL1911便で羽田を発つ。人の家に3日間もお世話になるんだから手ぶらじゃまずい、かと言ってベタな土産は嫌だとか思ってたら、結局何も買えなかった。結局予定より早く、12:30頃に那覇空港に降り立つと…暑いとか言うより、蒸す。とりあえず泊めてくれる友人に電話すると、なんと空港まで来ているとのこと。てっきりゆいレールに乗ってどっかで待ち合わせだと思ってたら、九州勢と到着時間が近かったのでついでに待っててくれてたそうだ。ありがたく思いつつも、周りが明日のスタッフばかりなので恐縮。とりあえずこれからお世話になるN君の車に乗り、N君の家へ…って、実家じゃん。3日間も泊められるってことはてっきり1人暮らしだと思ってたのに…お土産を買わなかったことをますます後悔。

で、九州勢がこの日に入ってきたと言うことは、当然打ち合わせやら何やらになるだろう。と言う訳で俺は市庁前で下ろしてもらって、「このまま23時くらいまで時間潰してて下さい」と言われる。もともと夜遊びするつもりだったので、夜が遅くなる分には全く問題は無いんだが、空港では現地勢に囲まれ、右も左もわからない土地で下ろされて、ものすごいアウェー感。いやむしろ悪いのはスタッフに配慮せずに泊めてもらおうなんて思う自分なんだが…とにかく降り立った瞬間に、曇天模様も相まって、いきなり不思議な空気に包まれる。車に乗っていた時からずっと感じていた違和感。これは一体何なんだろう…。

とりあえず早朝に家でカップメンを食べて以来何も食べていなかったので、国際通りの食堂でそば定食を食べる。そして一通り国際通りを歩きつつ…修学旅行生多いな、と思いつつ、平和通り商店街から延々とぐるっと回って、気がつくと松尾の交差点まで出てしまった。あれだけがやがやしていたのが、ちょっと入ると生活感たっぷり。なんだ、ここも普通の街じゃないか…と思うものの、やはり何か、言葉に出来ない違和感を感じる。

そうこうしているうちに16時。とっとと動かないと、今日は嘉手納まで行って米軍基地を見てくるつもりだったんだ。那覇バスターミナルから名護行きのバスに乗る。バス越しに風景を見ていて、やはり異様さを感じる。やってるのかやってないのかわからない店がぽつんぽつんとあって、それが過ぎるとやしの木やら林やらで、このあたりから基地なんだろうなぁと思う。通り過ぎるタクシーに、「AUTHORIZED ON AND OFF BASE」とプリントされている。俺が見たかったのは、こう言うものだったのか?期待と不安を抱きつつ、嘉手納を目指す。

「とりあえず嘉手納って言うバス停で降りれば飛行場の近くまで行けるだろ」と言う甘い考えで、嘉手納のバス停で降りて、適当に歩き始める。とりあえず、ここから2.5km先の道の駅を目指すんだが…人の気配が無い。住宅も結構あって、商店もそれなりにあるのに、そこに人がいたりいなかったり、まるでそこに捨てられたような店が立ち並んでる。米軍基地の周辺だったら、米軍の連中がやってくるような、外国人街みたいなのがあるんじゃないか、とか言う勝手な憶測は見事に外れた。歩くのは嫌いでは無いが、だんだん寒くなってきた上に、雨が降ったり降らなかったり。

ようやく道の駅に着くと、展望台から飛行場の内部が見られるようになっている。そして戦闘機がたまに飛んでくるんだが、それよりも問題は、その道の駅の裏手の方である。こんな町並み、かつて西原理恵子の漫画で見たような気がする。おもちゃ箱をひっくり返して、中途半端に片付けた上にさらにおもちゃをちらかしたような、そんな感じ。いや、それはここだけじゃない。バスから見えた景色も、明らかに観光客向けに作られた国際通りすらも、そんな面影は見えていた。言い様の無い、不思議な感覚に包まれていた。ここはゴーストタウンなのか?でも人が全くいない訳でも無いし…。

道の駅を出て、先に歩き続ける。これまでバス停が続いてたから、このまま歩き続ければ那覇に戻るバス停に辿り着くだろう、と思っていたら、バス停どころか歩道がなくなった。もうすっかり暗くなってきたので、しばし考えてから、とりあえず道の駅まで戻ることにした。運良くタクシーが止まっていて、那覇に戻るバス停まで乗せてもらって、バスの中で熟睡した。

ようやくパレットくもじまで戻ると、もう時刻は20時過ぎ。とにかく寒いので、国際通りの脇を入ったCherry Cafeと言う店に入ってチャイを頼む。ふとカウンターを見るとエドワード・ゴーリーの『うろんな客』があったので読んでみる。下北沢とかにいる時とやることが全然変わってねぇじゃん、俺。

ここでようやく、akahide・バーンの2人と合流。時刻はもうすぐ21時。なんか疲れていたので、おのぼりさん的でもおしゃれなところなら何でもいいや、と思って、国際通りの…何て店だっけか、あれ。とにかく入る。ビールが死ぬほど美味い。あとの2人はそれぞれ200gステーキを頼む。何なんだよステーキ400gって注文は。ゴーヤチャンプルーやフーチバージューシーなどベタなメニューから、もずくピザや豚の唐揚げなども頼む。現地の人からしてみれば高いんだろうなぁと思いつつ、とりあえず美味いので満足。おのぼりさん旅行はあまりしたくないんだけど、この時はとにかく疲れてた。でも夜遊びする気は満々。

そんなところに、1年半沖縄に住んでたという、友人のYちゃんからメールが来る。見てみると、どう考えても原ちゃんしかわからないような秘蔵情報が満載。この旅行中ずっと、この情報に助けられることになるのはわかりきってる訳で、本当にありがたい。

このメールを頼りに、松山にあるらしいレゲエバーに行ってみる。実は自分もクラブやバーに何軒か目星をつけていて、そのいくつかが松山にあったので、とりあえず行ってみる価値はあると思ったのだ。しかし、タクシーで松山まで行ってみると、そのバーがあるビル自体が見つからない。しょうがないので降りて、適当なところを探してみようと思うが、周りは完全に風俗街で、ポン引きばっかり。もうしゃあないので国際通りに戻るか、と言ったところでakahide・バーンの2人はお別れ。当初は23時予定だったピックアップがずれ込みそうと言う事で、もうちょっと時間を潰すことに。向こうは恐縮していたが、お世話になっているのはこっちだし、夜遊びする気満々のこっちにとってはむしろ好都合。しかし、雨がぱらついてるのに参る。

牧志の方から歩いていると、OPAの前に「TRINITY」と言う看板が。TRINITYって、メールで薦められた松山のレゲエバーじゃん。こっちに移転したのか?通りを挟んだ向かいにあるAirと言うバーと迷いつつ、Yちゃんお墨付きだったらこっちだ、と思いTRINITYへ。

TRINITYはOPAの7階、mnDと言うクラブの隅っこにあった。雨に濡れて、なんかシャレた物を頼む気にもなれなかったので、ビールを頼む。何だかわからないけどとにかくビールが美味しい。「初めての沖縄で、Yちゃんって子に薦められて来たんです」と言うと、マスターが気さくに話しかけてくれる。今年の1月に松山からこっちに移転してきたのだとか。「松山も危険になっちゃって、女の子とか来るの怖いって言い始めたから、ちょうどいいかなと思って」と。マスターは沖縄に来て10年だけど、内地に住んでた頃はなんとうちの近所に住んでたとのこと。沖縄くんだりまで来て、地元の通りがどうこう、みたいな話をするなんて。日本って小さい国だけど、もうちょっと広いはずだよなぁ…そんな偶然のいたずらやら何やらで、話は弾む。

今日1日の話をしていると、「沖縄の人は、家の外に出ると言う習慣が無い」と言う話をされる。夏場は数十分も外に出たら熱射病で危険だし、冬場は雨だったりで天気が不安定で、しかも嘉手納なんて飛行機がうるさくてろくに歩けやしない。その説明を聞いていろいろと納得が行った気がした。飲んでた女の子達には「沖縄いれば、友達すぐ増えるよ」と言われる。俺ほどの人見知りでもそうなんだろうか。その場付き合いなら得意な気はするけど。

だけど、ビールを飲みながら、今日1日のことを思いながら、Yちゃんのことを思っていた。彼女は1年半もの間、この場所で時を過ごした。そしてここで飲んでいる人達は、内地から様々な理由でやってきている。こう言った人達を、この沖縄という場所に引きつける魅力と言うのは、一体何なんだろうか。TRINITYでの会話や雰囲気で、おぼろげながらそれがわかってきたような気がする。

ただ、今まで行った地方都市の中でも、はるかに謎が多いとも思う。たかだか4日間の旅で、どこまで本質的なものが見えてくるのか、推し量るには短すぎるだろうか。最初から観光名所なんて興味は無くて、文化にしたって、見たいのは今まさに沖縄に住んでいる人達の文化であって、よそ行きの文化じゃなくて。…こう言う考え方って、自分が東京について抱いてる思いと、すごく近いと思った。東京もとかくイメージが先行する場所だし。

25:30になって、ようやくN君が迎えに来る。「どんな旅行になるかわからないけど、まずここに来れて、本当によかったです」と言い残して、TRINITYを去って車に乗る。車の中には、疲れ切った表情の九州勢が。ひどく申し訳ない思いで一杯だった。考えてみれば、明日の大会にあたって、実際に集合してリハーサルが出来るのはこの日だけなのである。そんな時に、たかだか一参加者である俺なんかのために気を使わせてしまうなんて…。

家に着いてから、皮膚の状態が危なくなってきたのでシャワーを借りるが、なかなか寝付けない。N君を除くM君・Kさんの2人は司会の打ち合わせを続ける。途中、「松さーん、あの「お逝きなさい」ってポーズどうやってやるんですか」「スタッフで誰も知らなかったの!?」「みんな「誰か知ってるだろ」って思ってたみたいでー」何故か参加者がスタッフに演技指導と言う面白い展開。N君はずっと作業を続けた末に、「30分仮眠取ります」「…N君、明日何やるの?」「問読みです」「…寝とけって!マジで!」みんな大変だ…結局自分が眠りについたのは4:30頃だったと思う。スタッフより遅かった気がする。東京で目覚めてから24時間以上経ってるが、せめてもの償いだ。