logic system continued.

http;//d.hatena.ne.jp/hello-m/ ではてなダイアリーで12年間書いてたブログ『logic system』から引っ越してきたので、その続き、という意味での『continued』。

リアリティ・バイツ。

10:00に新宿だと言うのになんで5:30に目が覚めるかな、とか思いつつ仕事へ。昨日はなんとたった1人で8時間孤軍奮闘することになったが、今日は7人の大所帯。仕事量が減る訳でもないのだが、精神的にはかなり助かる。
だがそれでも、精神的に揺るがされることがあった。初顔の女性、大学出たてと言うので歳の頃は近いはず。仕事中に少しだけ雑談した時に言われたひとこと。
「私いまマスコミ受けてるんです」
一瞬くらっときた。その直前まで、ここに書くにも恥ずかしいようなことを、さんざんしたり顔で語っていた訳である。目標を持って臨んでいる人間を前に何やってんだ、俺。長時間の単純作業の疲れもあいまって、軽くふらつく。あとこのところのカフェイン摂取過多もあったり。
仕事が終わった18時、帰り道に互いにその話に興味が行き、仕事や将来の話になって、夕飯でも食べようか、と言うことになる。つっても新宿西口方面に軽く夕飯を食べる場所なんてろくに無くて、結局は普通に定食屋に入る。話してみたら、実は同い年だった。なんかこのところ同い年に縁があるのか、俺。しかも行っていた大学は、高校時代、自分が映像関係に強い大学を探していた頃に、候補として挙げていた大学の一つ。これにもびっくり。
ここから先が大激論。互いに何がよぎったのか、真正面から、自分達の将来について、いつのまにか英語で議論していた。英語で一方的に論破されそうになっていたので、いつしか自分も英語に切り替わっていた。普段の自分なら、即座に論破出来ていたはずの内容だった。だが、何故かろくな返しが出来ない。これが、大学出てから2年間で、自分に植え付けられた「足かせ」か…『リアリティ・バイツ』。そんなことを思った瞬間、相手のテンションに合わせて、自然と英語に切り替わったのである。単に自分の負けず嫌いの部分、自尊心を保つ手段としてそうなったのかもしれない。「インターナショナルスクールの全てが嫌いだ」と公言し続けてきた人間だったのに。
目の前で熱く語る女性は、自分とは正反対に近い人間であり、自分とほぼ似ている人間だった。本当に初対面だったんだろうか。そう思わせるような出会いだった。
しかし、事の発端は、自分の現状を消極的に語る自分を、相手から励ましてこようと思って話が始まって、それがヒートアップしたものだった訳で。「自分は消極的ではなく、無感情なだけだ」と言ったはずだが、駅で別れる時、「また会う機会があるかどうかわからないけど」と言った俺に対し、「あるよ、また」とさくっとこたえた彼女。帰り道数分でこのやり取りを思い出して、ああやっぱ俺の負けかな、と思った。すぐ勝ち負けに持っていくのが俺の悪いくせだが。
就職活動でたまたま東京に出ていて、そのまますぐに地元に帰ると語っていた彼女と、当分会うことは無いだろう。少なくとも接点は無い。ただ、また会う機会は確実にあるような気がしていた。駅で別れてからも、この奇妙な、しかし刺激的な出会いをしばらくかみ締めていた。

「運命の奴、すごい事をしやがったな」*1――本気でそう思わせるような出会いだった。

映画『リアリティ・バイツ』が流行ったのがちょうど10年前だったか。10年経っても状況はそんなに変わってないねぇ、と、もしこのblogを見ているなら、たった1人に私信を送ってみる。

*1:作家・有島武郎の言葉。