logic system continued.

http;//d.hatena.ne.jp/hello-m/ ではてなダイアリーで12年間書いてたブログ『logic system』から引っ越してきたので、その続き、という意味での『continued』。

abc〜かく戦えり〜Pt.11

【敗者復活・ステップ1】

続いて敗者復活。ああもう忙しいなぁ。ここで勝ち上がることは全く考えていなかったが、自分の組にいた人達のほとんどを全く知らなくて、知ってる顔は独路やevianとかで、意識すべき相手はせいぜいCHU君くらいだった。他に強い人がいたとしても、意識しようが無い。でも少なくとも、あとの人達は予選通過の48人にはいない(と言うか予選を通過した人間が俺とCHU君しかいない)。CHU君にあまり勢いがあるように見えなかったので、1ステップ目は行けるかな、と正直思ってしまった。階段を登る時に、片岡さんがいらんプレッシャーをかけてくる。大会委員長としてもっと中立な立場に立ってくれないものかとずっと思っていたが、これには軽く腹が立った。あくまでも軽くだが。

敗者復活用の部屋に入ると、スタッフの人達にことごとく「来た」「来やがった」などと言われる。そんなにマークされてんのかよ俺。普段だったらここでまたプレッシャーがかかるところだが、そもそも勝ち負けにこだわっていなかったので、何も感じなかった。3問正解した1人だけが次のステップへ進出、誤答は即失格。誤答ルールが厳しいほど、周りの指が遅くなる。俺にとってはやりやすい。

最初の問題。『フランス人に死を、それがイタリアの叫び/』そのフレーズは対策中に何度か目にした。「マフィア!」個人的に、本大会を通じて最も納得が行った押しがこれだった。観客の前でこれが出来なかったのが残念でならない。しかしこのタイトなルールで早々とポイントを取れたのは大きい。カンで答えられそうな問題でも、誤答は即失格なので手を出さない。押し負けが何度かあったが、『最初にフランスのニームで作られたことから/』「デニム」で、7問くらい出たところでいち早くリーチ。普段の自分ならもう少し待つところだが、「そんな前フリはこれしか無いだろう」と、確定で無いものの早めに勝負をかけていた。明らかに普段より調子はよかったと思う。その後は押し負けが続き、何人かリーチもかかっていた。さすがにここで負けたくはなかったので、どこかで勝負をかけようと決めた。そして来た問題、『もともと瀬戸内の漁師の言葉から来た、漢字で「東の風」/』3秒以内に引き出せそうだったので、とりあえず押してみた。頭の中に瞬時に言葉がかけめぐる。「はえ…しののめ…とんぷう…こち…どれだ…」何かとうっかり混同してないだろうか、と不安ながらも「こち」と答えると、正解音が鳴った。

勝ち抜けた直後に出てきた言葉が「ごめん」。本気で敗者復活を狙っていた人達や、大会を楽しもうと思って来ていたのに、一度もボタンが点かなかった人達に向けた言葉だった。負けるのは本意では無かったが、俺が勝ったところでこの人達の期待には応えられないことはわかっていた。2Rで落ちた時点で、もう俺のabcは終わっていたのだから。


【敗者復活・ステップ2】

特快の面子がほとんどいない。3Rを勝ち上がった4人は、誰が敗者復活で勝ちあがってくるかわからないように隔離されている。大須賀と2人で、「お腹空いたねー」「なんか2人で買いに行こうか」とか話す。ステップ1の結果は伝えるなと言われていたけど、状況が状況だったので、「俺、ちょっと次あるから」とだけ大須賀に伝える。そんな訳で大須賀がご飯を買いに行ってくれた。ありがたい。今思うと、こんななんでもない休憩中のひとときが、一つ一つ心に残っている。それだけでも、いや、それだからこそ、充実した時間を過ごしていた、と言えるのかもしれない。

しかしこうなると、特快チームのメンバーがほとんどいない。2Rの時にさんざん檄を飛ばしてくれていた奴らが、今度は誰も見てくれない。この時点で、ただでさえ低いモチベーションがどんどん下がっていった。面子も厳しいし、1○くらい取れればそれでいいかな、くらいの気持ちでいた。そのくせ、わかりそうな問題も、誤答即失格と言うルールに恐れて手を出さず(特に「UHFのチャンネル数」→「62チャンネル」を押さなかったのは日和にも程がある)。得点状況を意識しながら問題を聞くものの、さっきとは違って問題の波長が結構ずれている。結局一度もボタンを点ける事無く、ステージを去った。

自分の中でなんとなく、abcのコース別を戦いたかった、と言うのがあったと思う。そして、勝つんだったら正当なルートで勝ち上がって行きたかった、と言うのもあった(もちろん、敗者復活で勝ち上がった土田君は正当な勝ち方をしていない、なんてことは断じて無いのだが)。そのどちらも叶わなくなった時点で、もう自分の中で敗者復活はおまけ程度にしか考えてなかったのだろう。勝とうとしていない人間が勝てるはずはない。ただ、峯・高村・喜多・渋沢がこれからタイムレースのためにこのステージにやってくる時に、敗者復活の席に俺が座っていたら驚くだろうな、こいつらとここで本気のぶつかり合いをやってみたかったな、と言う思いはあった。心残りがあったとしたら、それが最も大きなものだった。


【問題集配布】

この時点で、参加者に今回の大会の問題集が配られる。去年は、この瞬間が実に象徴的だった。あの問題集を受け取った瞬間、「ああ、もう終わったんだな、もうあのステージに立てることは無いんだな」と痛感したのだ。そう言った思いがあって、今年はこの瞬間を迎えるにあたって、覚悟を決めようと思っていた。しかし今年は、自分達は誤2で勝ちあがっているため、この時点で問題集はもらえない。それどころか、問題集を持っている他の観客と隔離され、名古屋大学と一緒に最前列に座らされた。しかも名古屋は全員揃っているのに対して、特快は(大須賀がまだ買い物に行っているので)自分1人。心細かった。

そうだ、誤の準決勝が終わった直後にも、特快と名大が召集されて、誤2決勝に向けてのインタビュー撮影があったのだ。その時も、名大勢が一致団結している中、俺は孤立無援だった。結局、バタバタと勝ったり負けたりしていた特快勢のインタビューは、最後まで撮影されなかった。(そう言えば大会終了後に、「今度の例会に誰かスタッフの人呼んで撮ってもらおうか?」みたいな話もあった気がする)

(続)