logic system continued.

http;//d.hatena.ne.jp/hello-m/ ではてなダイアリーで12年間書いてたブログ『logic system』から引っ越してきたので、その続き、という意味での『continued』。

『TOKYO!』

気になってた映画の一つだったんですが、id:jadedさんが最近見に行ってきて良かったと書いてたので、見てきました。今日見ないとしばらく見に行く機会無さそうなので。もう一つ気になっていた『闇の子供たち』も、偶然にも同じシネマライズでの上映。ただ時間が合わなかったので今回はパス。原作本をしばらくバッグに入れておいてずっと読んでなかったんだけど、ある時通勤電車で読み始めたら、その日のうちに読みきってしまいました。あれって映像化出来るのか?梁石日の作品でまともに映像化出来たのって『夜を賭けて』くらいだと思う。
閑話休題。1500円(モバイル割引)返せ、とまでは言わないけれど、見ながら怒りがこみ上げて来ました。「東京」っていうキーワードが入っていると、どうしても「どういう切り口で東京を撮って来たか」という考えが頭を離れません。この作品に関して言えば、東京を踏み荒らされて帰っていかれた、という感じしか残りませんでした。「俺の大好きなこの街で、何してくれてんだよてめぇら!?」とか言いたくなるくらい。
って、こういう書き方をすると、ものすごくひどい作品だと思われそうですが、オムニバス3作を個々で見ると、作品としては良かったと思います。だけど、これを東京でやる必要が本当にあったのか?と。1作目は、わりとどんなシチュエーションでも置き換えられる不条理展開。2作目は、「東京人が持つよそ者への禁忌」を皮肉った、っていうのがありありとわかるんですが、別に東京だけじゃねぇだろうと。皮肉とか風刺とかじゃなくて、あれは「悪意」にしか感じられませんでした。唯一まともに見られたのは3作目。けどこれも言ってしまえば深夜ドラマのノリだし、やっぱり東京である必然性は、どうしても見当たらなかった。キャストとか映像とかはそれなりに俺好みだったけど、別に映画館で見たいと思うほどの内容では無かった。
この映画、『TOKYO!』ってタイトルじゃなければ、こんな穿った見方はしてなかったと思う。けど、これが海外とかで「東京の群像」として見られると思うと、やっぱりすごく嫌だ。「東京」からプロットを膨らませたのではなく、複数ある小さいアイデアの中から、「東京」を利用してプロットとしてむりやり肥大させた、としか思えない。評価はつけません。10段階で4.0とか言うところだったけど、角度を変えればいいものだ、というのはわかるし、今のところこのblogで最低評価の5.0をつけている『アンフェア the movie』より下につけるのは、さすがにあんまりか思った。序盤にこみ上げた怒りが先行してしまって、残りがまともに見られなかっただけかもしれないし。
と、一通り書いてから、id:jadedさんのレビューを読み返してみて、引っかかった部分があったので引用させて頂きます。

終わってみてれば一篇目の「インテリア・デザイン」が一番好きだった気がする。「東京」という街の悔しさとか、面映さ、むかつきを観ている側に色濃く焼きつけてくる。

やっぱり俺なんか見落としてたのかなぁ?この意見に反対はしないけど、やっぱり「東京」である必然性があったかなぁ、と思わざるを得ないのですが。そのことに対して目くじら立てるのが、反応として過剰である、ってことなのだろうか。とりあえず勝手に引用してしまってすいません。ここまで複雑な反応をしてしまった映画がこのところ無かったので、第三者的な目線が欲しかったのです。書いた後にもう一つ見つけた、id:spinさんの記述。

外国人から見た東京の特徴的なところ(部屋の狭さ、交通渋滞、渋谷のスクランブル交差点など)がわかり、やっぱりなと思ったりした。ただ、満員電車のシーンはなかったが、ロケが大変だからだろうか?

単純に、今回の3人がそれを求めなかっただけじゃないでしょうか。満員電車のシーンは、2作目の渋谷のシーンで十分事足りたと、自分は思いますし。ただやっぱり、部屋の狭さや交通渋滞は他の都市でだってある訳だし、さらに言えば1作目の部屋の描写は、いくらなんでも誇張し過ぎだったと思う。ジャン=ピエール・リモザンの『TOKYO EYES』では電車が効果的に使われていたと思います。そういえば両作品共に、カンヌの「ある視点」部門ノミネートですね。