logic system continued.

http;//d.hatena.ne.jp/hello-m/ ではてなダイアリーで12年間書いてたブログ『logic system』から引っ越してきたので、その続き、という意味での『continued』。

第79回アカデミー賞。

家にいた。昨夜ろくに眠れなかった。WOWOW解約しようと思ったらデジタルWOWOWの無料キャンペーンが今月末までだった。CNNで事前番組を見てた。というよう風に偶然に偶然が重なり、珍しく授賞式を通しで見ました。昨夜ろくに眠れなかっただけに途中ちょっとうとうとしたけど。
…あれだけ今年は「インターナショナル・オスカー」と言われていた。主演・助演でノミネートされた20人の役者のうち、5人がアフロ・アメリカン、2人がメキシコ人、1人が日本人。作品賞も、全編日本語という異例のノミネートだった『硫黄島からの手紙』、イギリス女王を描いた『クイーン』、サンダンスから上がって来たこれまた異例な『リトル・ミス・サンシャイン』、そして何より、大陸間の物語がクロスオーバーする『バベル』があった。
しかし結局は、香港映画のリメイクの『ディパーテッド』。
インファナル・アフェア』の立場を丸っきり無視した、コテコテのアメリカ映画。原作はどうなる。スコセッシの念願と言ってしまえば聞こえはいいが、本人はそもそもこの映画に乗り気では無かったはず。さすがに『硫黄島からの手紙』が取ったら逆にいろいろ勘ぐってしまいそうなところだったが、『クイーン』なんて特にアカデミー受けしそうな作品だった。『バベル』『リトル・ミス・サンシャイン』に作品賞を取らせるのは相当に勇気がいる決断だったかもしれないが、特に『バベル』が取っていれば、「インターナショナル・オスカー」を全世界に印象付ける、象徴的な受賞になっていただろう。
ノミネートや、他の賞の受賞状況を見ていて、アカデミーもいい意味で随分変わってきたなぁ、と思ってたのに、結局『ディパーテッド』かよ、と…。
そんな中、主演男優賞フォレスト・ウィテカー念願の受賞の前に、レオナルド・ディカプリオはまたも受賞を逃した。そもそも何故ここに限って『ブラッド・ダイアモンド』でのノミネートだったのか理解に苦しむが。しかしまぁ、主演・助演関係に関しては全て納得が行く受賞でした。助演男優賞がアラン・アーキンなんて最高じゃないか。助演女優賞ジェニファー・ハドソンも順当過ぎるほど順当だった。助演男優賞の発表前だったので、ここでアビゲイル・ブレスリンが来たら面白いだろうなぁと思ったが。いや別に『リトル・ミス・サンシャイン』ばかりプッシュしてるつもりは無いですよ?ただ、ジェニファー・ハドソンで鉄板だというのに日本のメディアが菊地凛子を過剰なまでに推していて、そこを10歳のリトル・アビゲイルがかっさらってあのトレーラー通りの「キャー!!」をやってくれたら面白いだろうなぁ、と思っただけで。菊地凛子はいずれまたチャンスがあると思うけど、アビゲイルは今取ってこそ価値があると思うし。しかしジェニファー・ハドソンの成功でまた『アメリカン・アイドル』の話題性が上がりましたね。つーかむしろ『アメリカン・アイドル』に後押しされて、ってところなのかもしれないが。で、主演女優賞はヘレン・ミレン。「誇り高き英国」の象徴のようで、かっこよかったです。ただ、ウィリアムヒル・ブックメーカーがなんと発表前にヘレン・ミレンにベットした人間に配当を返す、という異例措置を取っていたのを見て、そこはちょっとなんだかなぁと思ったが。
対照的に、今回最大の番狂わせとなったのが楽曲賞。『ドリームガールズ』から5曲中3曲入っていたというのに、なんと受賞はドキュメンタリー作品である『不都合な真実』の主題歌を歌ったメリッサ・エスリッジ。彼女ももはやベテランの大歌手だけど、あれだけ面子が揃った『ドリームガールズ』がここで逃したというのは驚き。そして長編ドキュメンタリー受賞は『不都合な現実』。つーかアル・ゴアが目立ちすぎ。ショートフィルム賞『ウェスト・バンク・ストーリー』のアリ・サンデルがショートフィルム業界やドキュメンタリーに関して極めて真摯なスピーチをした後だっただけに、『不都合な真実』が持っていくというのはちょっと露骨だった気がする。プレゼンテーションの問題か。イラク絡みの作品が2本あったので、それに取られてもって感じはしたが、ここで『不都合な真実』はもっとどうかと。
とにかくマーティン・スコセッシ念願の受賞のお膳立てをする結果となった『インファナル・アフェア』に関わる人達の立場は、と思わずにはいられませんでした。監督賞にしても他にいたような気もするけど、まぁこれでいいのかなぁ。
結局アジア勢で風穴を空けたのはショート・ドキュメンタリーの『The Blood of Yingzhou District』だけか。見たいので今年のSHORT SHORTS FILM FESTIVALでやらないかなぁ、と思いました。あと日本公開予定がまだ無い『Volver』や『Little Children』が受賞を逃し、このまま日本未公開のまま終わってしまうかもしれないと思うともったいない。とりあえず『リトル・ミス・サンシャイン』は見られたら見ます。トレーラー見た時はここまで話題になると思わなかったなぁ…。あともちろん『バベル』も。それから主要部門であれだけ食い込んだ『パンズ・ラビリンス』も気になりますね。