logic system continued.

http;//d.hatena.ne.jp/hello-m/ ではてなダイアリーで12年間書いてたブログ『logic system』から引っ越してきたので、その続き、という意味での『continued』。

abc〜かく戦えり〜Pt.10

【誤2・準決勝】

相手は「琉球大学with僻地ーず」と「伊達クイズ連合」。正直、個人的には当たるのが怖い2チームに来られてしまった。琉球には石川さんに宮川、伊達には澤西さんに米谷と、厳しい面子が揃っている上に、チームバランスもいい。ただ、特快の5人の間では、「どこが来ても一緒だよ、勝つ時は勝つし、負ける時は負ける」と言うムードが流れていた。

自分は自分で、気合が入ってるのか、気が抜けているのか、わからない状態だった。もう気持ちがすっかり落ち着いてしまっていて、誤2に対してあまり何も考えてなかったから、ただ「出た問題に答える、自分の役割をさくっと果たす」と考えていた気がする。この「さくっと」って言うのはかなり重要なのかもしれないけれど。そもそも特快全体が「誤2」に対するモチベーションが低くて、俺が「とりあえずエントリーだけでもしとこうよ、最後だし」と言わなければ、この場にいなかったかもしれない。だけど、目の前の戦いについては、みんな真剣なのである。頭ではそれはわかっているけれど、あのモチベーションの低さを見ているだけに、感覚としてそれが自分の中にはなかったような。「誤2」に真剣にぶつかって来ていたチームには重ね重ね申し訳ないとは思う。だがあの時、自分の中でもはや一つ割り切ったところに達してしまっていたのだと思う。

開始前のインタビュー。「特快は今回絶好調ですが」とリーダーの大須賀にふる。「いやーホントに絶好調で、僕ペーパー落ちてるんですけどね」このチームでただ1人ペーパーを落ちている大須賀にそんな質問をするのは酷だ。演出上仕方ないし、本人もすでに割り切っていただろうからいいんだけど。特快には、他の2チームを止めるほどの勢いは無い。だが、自分達のペースを崩さない冷静さがある。…そう言えばうちらって「暴走特急」って言われてたっけ。とにかく、このメンバーで負ける気はしなかったし、負けたとしても納得が行くメンバーで臨んでいるつもりだ。

どの問題で始まったか、これを書いている時点では覚えてないが、とりあえずちゃんと自分の出番が来るかどうか、やきもきしていた。しばらくして、喜多が「ベン図」を正解、自分の番が回ってきた。この時点ではまだ相手の2チームもそれほど人数が進んでいなかった気がする。自分の名前が呼ばれると共に、手に持っていたジャケットを乱暴に机に叩きつけて、どかっと椅子に座る。ちょっとだけそんな「ガラの悪い奴」みたいなパフォーマンスをしてみたかった。このあたり、慶應の川合剛太を意識していたのにはたぶん誰も気づいていない。予選はジャケットの下にTシャツで挑んだが、この時はボタンダウンの黒シャツだった。喜多は衣装を5着用意していたらしいが、俺も実は少しずつ着こなしを変えていっていたのだ。全部黒だったからあまり気づかれなかったと思うけど。

『〜昭和の終わりの頃、一年で最後の祝日だったのはどんな日でしょう?』全くわからないし、カンで行ける状況じゃない(正解は「勤労感謝の日」)。この時、喜多と峯に「誤答していい?」と聞くと難色を示す。当然、本当に誤答する訳ではなく、「誤答覚悟で押していいか」と言う意思表示だった。しかし「間一髪」は問題文の意図に気づかず、相手に取られた直後に、「2×までならいいよ」と喜多に言われる。だが、『G1レースの安田記念に名を残す〜』で、名前が思い出せず頭を抱える。正解の「安田伊左衛門」が読まれると同時に舌打ち。続いて『妹は演出のため胸を露出したジャネット、兄は裁判/』断片的にしか問題が聞こえなかったのだが、「妹はジャネット、兄も問題起こしてる」でピンと来て押し、やはり乱暴に「ジャクソン」と答える。2Rと違って、クイズの仕方がいつものペースに戻っていた。

高村が「ニキビ」を正解してから、大須賀が何度か押し負ける。大須賀の背中を4人が見守る中、次の問題。『かつてYMOの影響で流行した〜』問題を聞いた瞬間、特快全員が笑いをこらえる。芸能が得意、スポーツが苦手な人間ばかり集まってる特快の中で、大須賀は随一のテクノっ子。もはや勝ちを確信していたら、案の定大須賀が押し、余裕の声で「テクノカット〜」と答える。たぶんスタッフの一部も笑っていたと思う。ここで、全員に対する書き問題。5問ある難しめの問題から、大須賀が1番の問題を選ぶ。

アテネまで水を運ぶ仕事をしていたギリシア人で、第1回アテネオリンピックのマラソン競技で優勝したのは誰でしょう?』

「2002年のマンオブで出てた」そう思いながら書くが、これを5人全員が正解しているとは思えない。とりあえず自分は正解を書くが、峯と大須賀が誤答。喜多と高村が「ルイス」と書き、俺だけがフルネームで「スピルドン=ルイス」と書いていた。どうせここでリセットされても、相手はまだどちらも3番手にしか達していない、しかも伊達は2×ついている。有利なのは変わらない。

この問題でリセット、しかし直後の「ステンカ・ラージン」を峯がいきなり正解、「タカアシガニ」をはさんで「ルーブル」を喜多が正解。たった3問で自分の出番が来た。なんとなくそうと思いつつ「虞美人草」を押せず、そうすると僻地ーずが「ロックフェラー」「水星」「石垣市」と3連答、書き問題に挑む。解答席に座っていた俺は、「まぁ1回目で5人全員は無理だろう」と思いつつ、不安感は拭えなかった。

『頑固で意地っ張りな正確を表す言葉で、「津軽の」といえば「じょっぱり」ですが、「肥後の」といえば何でしょう?』

あーわかんねぇ。うちの時これ来なくてよかった。いや結果変わらないんだけど。肥後などと言っているので北の人間には厳しいか、と思いきや案の定正解は1人のみ。危ない危ない。そして続く『ポルトガル語で「新しい傾向」という意味がある、ジャズとサンバが結びついた/』両隣の2人は動く様子が無い。その語源は聞いたことなかったが、「ああ、ノバか、新しいか、なるほどね」と思いながら「ボサノバ」を正解。「松本君は芸能問題は絶対に外さないんですよね」と解説の日高さんに言われる。事実、先ほどの「ジャクソン」に引き続き、早押しでは芸能しか答えてない。

そして高村がすぐに「ユーレイル・パス」を解答。俺以外はみんな早いなぁ。正直、このチームのネックは俺の知識量の少なさと、大須賀の指の遅さだと思っていた。事実、大須賀がついてからは解答権を連続で取られ、伊達クイズ連合が5番手、最も警戒していた澤西さんに回ってしまった。伊達は総合的に強いから、ここで正解したらそのまま勝ちぬけられるかも…と思っていたら、『プロ野球チームとJリーグチームの両方が/』と、案の定完璧なポイントで押される。しかしこれがなんと誤答。これで大須賀に時間が出来た。「お笑い問題は取る。」と公言していた大須賀がお笑い問題を押し負けると言う部分があったものの、『昭和の初めの頃には「べろかまぼこ」とも/』大須賀がこれを落ち着いて「笹蒲鉾」と答える。自分が知らない問題を押されると余計すごく思えてしまう。難易度が少し落ちた書き問題は2番を指名。

『別れた男女が再び元の関係になることをいう慣用句で、「戻す」のは「より」ですが、「火がつく」のは何でしょう?』

大丈夫だ。この5人がこれを誤答しているはずが無い。相手チームから落胆の声が聞こえたような気もした。順番にボードを上げる。「焼けぼっくい」「焼けぼっくい」「焼けぼっくい」「焼けぼっくい」そして一瞬困惑していたかのような大須賀がボードを上げると同時に、「焼けぼっくい!」

戦い自体は苦しかったが、常に優位に立って試合を運べたのが大きかった。ともあれ、決勝進出。正直なところ、「んー行っちゃったかー」と言うところだった。負けたら悔しがるくせに、abcのことがあるから、勝っても素直に喜べないのである。むしろ、「いいのか?俺達で。ていうか3人勝ってるし、大須賀はリーダーだけど、俺ここにいていいの?次もクイズやっていいの?」と言う感覚だったのかもしれない。

続く第二試合は、立命館、早稲田中高、名古屋大学の戦い。立命館は強いとは言っても、個人の強さであり、チーム全体のバランスはあまりよくない。早稲田中高は若さ故の勢いがあるが、経験に乏しく勝負どころにどうだろうか。そう考えて、名古屋大学に分があるかと思っていた。すると案の定、立命館の一番手である古川がいきなり誤答。どうにか3番手までは進むものの、早稲田中高が一気に5番手まで進む。この展開にはあまり驚きはしなかった。そこから4番手で止まっていた名古屋大学が動き、5番手の丸山さんが「アベニュー」を正解。引いた書き問題に、思わず耳を疑った。

『氷が溶けた温度である融点は、摂氏では0度ですが、華氏では何度にあたるでしょう?』

え、これが難易度高なの?何というか、アタリ引いたな、と思わずにはいられなかった。ボードが上がると共に、一瞬「32℃」と書いてるように見えた。華氏って聞いてるからあれは誤答じゃないのか、と思ったら、よく見たら「32ど」と書いてあった。紛らわしいなぁ。結局、これを全員が正解。30問以上かかった第一試合に対して、書き問題含めてわずか14問で決着がついてしまった。これで、特快の相手は名古屋大学に決まった。総合力があるチームで、勝つにはふさわしいと思ったが、敵に回るとなると苦戦するだろう。まぁ、やるだけやればいい。それだけだ。

(続)